2026-06-28
はじめに
UIや画像処理、ゲーム開発、CSS、AI指示などを書いていると、
左上・右上・右下・左下
という言葉をたくさん入力することになる。
英語なら
top-left / top-right / bottom-right / bottom-left
さらに短くして
TL / TR / BR / BL
という表現も使える場面がある。
しかし、この名前には不満がある。
- 頭文字1文字で表現できない。
- 2文字だと、他のアプリ内の用語と被ることがある。
「右上」 を毎回 “top-right” と書かなくても済む世界は作れないだろうか。
命名の条件
今回考えた条件は次の通り。
- 頭文字がすべて異なる
- CSSやUIで頻出する単語とも衝突しない
- tier 1(方向そのもの・必ず避けたい):
topbottomleftright - tier 2(box系・できれば避けたい):
startendmarginpaddingborderinnerouter
- tier 1(方向そのもの・必ず避けたい):
- CSSやUIで頻出する単語とも衝突しない
- 覚えやすい
- 由来が分かる
- 語感が良い
- 4文字程度(統一する)
- 元々は「コード上でガタガタしない」が動機だったが、AI codingによりその需要は減った
- AI から見ると文字数を削ってもトークン数はほぼ変わらず、短くしても節約にならない(むしろ造語は複数トークンに割れることもある)のも、需要が減った理由の一つ
- それでも、人間が読む見た目として、せっかくなら長さは揃えたい
被りチェックの記号は、被る相手の tier で分ける。
- ✅ どの語とも被らない
- △ tier 2 とだけ被る(許容範囲)
- ✗ tier 1 と被る(致命的)
案1 時計由来(英語)
時計盤には誰もが共通して持っているイメージがある。
そこから、
Elen Onow
Seht Fiurを考えた。
由来は
- Elen ← eleven + ten
- Onow ← one + two
- Fiur ← four + nine
- Seht ← seven + eight
である。
特徴
- 4文字
- E / O / S / F で頭文字が重ならない
- 時計を見れば説明できる
| name | 被りチェック |
|---|---|
| Elen | △ end |
| Onow | △ outer |
| Fiur | ✅ |
| Seht | △ start |
案2 時計由来(日本語)
さらに日本語ならもっと分かりやすくできる。 日本人にとっては「〇時の方角」というのは馴染み深い。 3時9時の上下からとると、次のような案が考えられる。
juji niji
haji yoji由来はそのまま
- 十時
- 二時
- 四時
- 八時
である。
特徴
- J / N / H / Y
- CSSの主要単語とほぼ頭文字が被らない
- 日本人なら説明不要
現時点ではかなり有力候補だ。
| name | 被りチェック |
|---|---|
| Juji | ✅ |
| Niji | ✅ |
| Yoji | ✅ |
| Haji | ✅ |
案3 単語分解
left/right/top/bottom の一部だけを取り出して新しい単語を作る方法 。
elip giip
ftom htom由来
left → el / ft
right → gi / ht
top → ip
bottom → om特徴
- 元単語との対応が残る
- 4文字
- E/G/F/H で頭文字が重ならない
| name | 被りチェック |
|---|---|
| elip | △ end |
| giip | ✅ |
| htom | ✅ |
| ftom | ✅ |
案4 アルファベットの形
アルファベットそのものを図形として見る方法。
q p
d b丸い部分を見ると四隅になる。
| name | 被りチェック |
|---|---|
| q | ✅ |
| p | △ padding |
| b | ✗ bottom (border) |
| d | ✅ |
これは非常に覚えやすいのだが、
- b と d
- p と q
は人間が最も混同しやすい文字でもある。
面白いアイデアだが、実用性はやや低めだ。
案5 現代UI由来
スマートフォンやWebアプリでは
hamb acti
navi fabuのような配置が比較的よく見られる。
- hamb = Hamburger menu
- acti = Action
- fabu = Floating Action Button
- navi = Navigation
navi はちょっと無理やりだが、他の3つは比較的よく使われる。
| name | 被りチェック |
|---|---|
| hamb | ✅ |
| acti | ✅ |
| fabu | ✅ |
| navi | ✅ |
ただしUIは時代やOSによって変化するため、普遍性は少し弱そうだ。
案6 象限(Quadrant)
数学にはすでに四象限という概念がある。
- First Quadrant
- Second Quadrant
- Third Quadrant
- Fourth Quadrant
これを略す方法も考えられる。
ただし、
II | I
----+----
III | IVという配置なので、「左上・右上・右下・左下」と対応させるには少し分かりにくくなる。
そもそも「第一象限」は打つのが長いし、I〜IV と略しても「左上」とは直感的に結びつかない。
実際にどう入力するか
名前が決まっても、実際に変換できなければ使われない。現状すぐ試せる手段は2つ。
- IME に辞書登録する 「zl」で「→」が出る IME があるのと同じ要領で、「zo」(z + onow)→「右上 / ↗」のように割り当てる。 この場合も、各方向にどのキーを振るかは自分で決め ておく必要がある。
- AI のシステムプロンプトに定義を入れる 「Onow = 右上」と教えておけば AI 側は解釈できる。 ただしプロンプトが長くなり、生成ドキュメントの語彙にも影響が出る副作用がある。
どちらも「自分の環境だけ先に Onow 化する」アプローチで、まさに最初の一人になる方法だ。
まとめ
良い四隅の名前を考えるなら、少なくとも次のような条件は満たしたい。
- 4方向の頭文字が衝突せず、1文字で区別できる
topleftなどコードで頻出する語と被らない- 由来があって覚えやすく、語感が良い
- 長さが揃っている
この条件で考えた、現時点のお気に入りがこれだ。
juji niji
haji yojiと
Elen Onow
Seht Fiurこの記事で本当に伝えたかったのは、「Onow」という名前そのものではない。
「左上・右上・右下・左下」は、多くのエンジニアが日常的に使う概念であるにもかかわらず、誰もが自然に使う短い呼び名はまだ存在していない。
そこで今回は、
- 時計から借りる
- UIから借りる
- 単語を分解する
- 数学から借りる
といういくつかの方向性を考えてみた。
もしかすると、もっと良い案は既にどこかで使われているのかもしれないし、まったく別の発想から生まれるのかもしれない。
この記事が、「四隅に名前を付ける」という小さなテーマを考えるきっかけになれば嬉しい。